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名古屋「金山」の街を、人を、文化を、掘り起こし、思考するためのニューメディア&プロジェクト。「MINED&MIND」
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【かなやまじんくらぶ】まちの人にお話しを聞く③ 妙香園 四代目社長・田中良知さん
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【かなやまじんくらぶ】まちの人にお話しを聞く③ 妙香園 四代目社長・田中良知さん
Author: Mined & Mind 編集部
Date: 2025 09/30

金山の街のリサーチをして、ZINEを制作する市民参加型アートプロジェクト「かなやまじんくらぶ」。

まちのことを知るためにはそのまちを深く知る人に話を聞くのが一番!ということで、チームに分かれて金山のキーパーソンを尋ねてお話を聞いてきました。

※本インタビューは各チームがZINEとしてデザインしたものを一部編集し掲載しています※

 

▼「かなやまじんくらぶ」で制作したZINEのページ(ZINEの全ページはこちらからご覧いただけます)

 

インタビュー先:株式会社 妙香園 四代目社長・田中良知さん

取材日:2024年10月9日
取材メンバー:MEI ITHO、SHUTA TATSUMI、NACHI YAMAMOTO、AMI KONUMA、IZURU SHIMASAKI

 

「妙香園×HOJAS NUEVAS!  OCHA OUTSIDE」

 

抹茶 MATCHA

「かっこよくピシッと抹茶でも点てたいな」と思っている、そこのあなた。でもお茶の世界って、なんとなく敷居が高くて尻込みしてることと思います。
そんなあなたには「野点」がおすすめ。野点とは野外で催す茶会のことですが、さらに尾張地域では農家が農作業の合間に野外でお抹茶を点てて飲む文化が今でもあるそうで、それを「野良茶」といいます。
お抹茶のイメージといえば、和服に正座で器をクルクル、茶菓子を一口で食べようものなら二度と敷居を跨がせてもらえなさそうな厳格さ(※イメージ)がありますよね。

野点 NODATE

その点、野点や野良茶は自由です。なんせ民衆の文化ですから特に決まったルールはない。妙香園の田中社長によると、昔の人は氷砂糖を齧りながら外でお抹茶を嗜んでいたそうです。粋の文化ここに極まれりですね。
畳の上で点てる前に、ぜひ身近なところで野点や野良茶をやってみてください。

妙香園が作り出したブランド力

妙香園は、合組と呼ばれるブレンド製法によってお茶をお届けしている。様々なお茶の産地から仕入れた茶葉を茶匠がブレンドし、色や香り、そして味、それぞれのいいとこどりをすることで最高の一杯を届けることができる。
更に、淹れ方についても研究を重ね、最もおいしく飲めるように一匙分の量をmg単位で調整しているのだそう。例えば、名古屋ほうじ茶 鸞(らん)では4.75gが最適な量です。
お茶の量を細かく見極め、追求することでお客様に満足のいく一杯を提供できる、その心遣いが妙香園の味を支えている。
※ちなみに妙香園の抹茶はシングルオリジン、産地限定です。

お茶のハードルを下げるために

お茶を身近なものにするために様々な取り組みをしている。
飲み方としては抹茶ラテのような、気軽に飲めるメニュー作り、飲み物を出す場所としては、イートインの場所を設けた。
様々なアイデアを実現化してきた田中さんは、今後展開してきたい分野として、外国人観光客へのアプローチと、お茶の固定概念を変えることと語る。
具体的な展開として、歴史的背景や名古屋との繋がりを体験しながら本格的なお抹茶を点て、飲んでいただくワークショップを外国人向けに開催している。
また、固定概念を変化させるために、お茶を飲むこと自体の付加価値を高めていきたいとも話していた。
例えばコーヒーを嗜むように、お茶を日常的に嗜む、というカルチャーをお茶の世界にも広めていきたいと今後の展望について語っていた。

尾張、金沢、松江

田中さんによると名古屋はお抹茶の消費量が日本一らしい。それだけ聞くと、お茶の先生が多い地域なのだろうかと思うが、どうやらそうではない。
買っていく人たちは和服ではなく洋服を着ていることが多いのである。
これはお抹茶を嗜む一般人が多いということの表れなどだと。このことは他地域のお茶屋さんが驚くポイントらしい。
名古屋の他に抹茶の消費量が多いのは金沢、松江だそうだ。名古屋からかなり遠方であるため、縁もゆかりも無いと思っていたが、その土地を治めていた大名を調べてみるとすべてこの地方にルーツのある人物であることが分かり、どうやらそのお殿様と一緒にお抹茶文化も尾張地方から渡っていったよう。
はたして、彼の地でも農家は農作業の合間に野良茶していたんでしょうか、俄然気になってきました。

金山駅前まちそだて会

どこに行くにも便利な金山駅は、便利であるが故に「乗り換えのための駅」として埋もれ、また大きな金山駅はまちを分断してしまうこともあった。金山駅前まちそだて会はこうした金山の課題や良さを、徹底したリサーチやワークショップによって浮き彫りにしながら、金山のもつべき新しい機能を考え続ける。
まちの活性化は、まずはまちの人々がまちのことを好きになるためのデザインだと思う。まちの魅力を発する外への視線だけでなく、内への期待や希望をもって役割を与えていく働きかけは、局所的な課題解決ではなく、まちの一人ひとりが楽しく、価値を生み出し続ける未来をつくる。活気ある金山のさらなる進化に期待!

金山の音楽

金山は音楽のまちである。
金山駅周辺での路上ライブ、アスナルでの音楽フェス、そして名フィルがあることにより音楽好きの人々が多く集まるエリアになっている。アスナルのフェスではプロアマ問わず様々なアーティストが参加し、J-POP、クラシック、JAZZ、コーラスなど、ジャンルもスタイルも多種多様な音楽を気軽に楽しむことができる。
そして東海地方を代表する国内屈指のオーケストラ、名古屋フィルハーモニー交響楽団は Niterra 日本特殊陶業市民会館をメインホールとし、名古屋市音楽プラザで日々の練習やサロンコンサートを開催している。
以前私が金山駅南口を利用した際にも、駅前広場でサックス演奏が行われていた。音楽が聞こえてくると自然とわくわくした気持ちになる。活力あふれる演奏をみなさんにもぜひ聴いていただきたい。

妙香園画廊のなりたち

使いみちが見つからなかった、栄・妙香園ビルの階上。妙香園画廊は、お茶会のなかまたちで、書や生け花などを趣味にする人たちが作品を発表する場として立ち上がった。お茶によってできた人々の繋がりが、お茶の枠から飛び出して交流を広げていくときの期待感や温かさが、今も妙香園の空気に残っている。お茶会から人々の会話がはずむ様子が想像できて、ほっこり。憧れる。お酒じゃなくてお茶で、若い人からお年寄りまで、みんなで一服して会話を楽しもう。作品を持ち合って。
妙香園画廊は、来年1月に終了してしまうようだが、実は次の計画があるみたい。何だろう、とても楽しみ。

田中良知さん

田中良知さん。大正5年創業の老舗お茶専門店「妙香園」の四代目社長を務めている。今回はお忙しい時間を縫ってインタビューにお答えいただいた。社長として妙香園という歴史あるお店の伝統を守りつつ、さまざまなお客様にお茶を親しんでいただけるよう新しいものや会社の刺激になるものを柔軟に取り入れている。
厳格な考えをお持ちの先代社長に育てられた反動で、人と会うことや人の集まるところへ行くのが好きな外交的な性格に育ったと仰っていた。最近では会社にチャット GPTを流行らせたそう。「仕事が古い業界だからこそ、仕入れる情報は常に新しいものを」というのが田中社長のモットー。そのため、iphone は常に最新。

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