


feature
Author: 「MINED&MIND」編集部
Photo: 河井伶香
Date: 2026 02/14







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Author: 「MINED&MIND」編集部
Photo: 河井伶香
Date: 2026 02/14「MINE&MINE」(=「私のもの」と「私のもの」がぶつかり合う!?)と題した対談シリーズvol.2は、金山駅から南へ10分ほど歩いたところにある古民家を改装した居酒屋「ハコワレ」と、さらにそこから南へ数分歩いたところにある沢上商店街の一角に店を構える新刊書店「TOUTEN BOOKSTORE」。どちらも名物店主が店を切り盛りする人気店だ。
〈MINED&MIND〉では、昨年11月にこの2店を繋ぐコラボレーションイベントを企画・開催した。
【REPORT】夜のブックショップ BAR/ハコワレDJ PARTY「BOOKED」ーーTOUTEN BOOKSTOREとハコワレが仕掛けた金山の静と動の溶解
それぞれコミュニティも、昼と夜でコアタイムも違うものの、金山エリアに新しい風を吹かしていることは間違いない両者の初対談。果たしてどんな内容となったのか。
特別対談シリーズ「MINE&MINE」#②
JP:いや〜なんか緊張します。あんまりこういう取材とか慣れてなくて。
ー今日はなんでサッカーのユニフォーム着てきたんですか?(笑)
JP:今夜ブラジル戦なんです。サッカーめちゃくちゃ好きで。今日取材終わってから見れるかなって。正直ちょっと焦ってます(笑)。
ー(笑)。まず、お店の成り立ちから聞かせてください。二人はなぜ金山にお店を出そうと思ったんですか?
古賀:うちは「さかさま不動産」っていうちょっと特殊な物件を扱うところを通してまして、たまたま縁があって、この物件に出会いました。この辺りは戦争で焼けなかった地域らしく、奇跡的に残った建物で築80〜100年くらいだと思います。最初は本当にボロボロでしたが、空き家でほぼスケルトン状態だったのでワクワクしましたね。
JP:僕は正直、お店をやるまで全然金山は来たことなかったです。1店舗目(club 95’)は新栄だったんで。金山は本当に未知でした。友達の友達みたいな繋がりで、たまたま空いてる物件があってそれが金山にあった、という感じ。正直、飲食店がやれるならどこでもいいと思っていたので、勢いで決めましたね。最初は前にやってた新栄のバーと、金山と二つやりながらだったけど、元々の黒瀬との夢は飲食店やる事だったので金山一本に絞りました。
ー金山のどの辺りに可能性を感じたんですか?
JP:可能性というか、「おもろいな」と思いました。オープンしてすぐ近くにある幼稚園の子とか、そのお父ちゃん、お母ちゃんたちとも知り合って。なんか自分の地元にいるみたいな気持ちになって。親近感が湧くというか、人情味のある街なんだろうなって。
古賀:私は家も金山に引っ越してきたんですけど、近所の人が野菜くれたりとか、下町っぽさが意外とあって。店を出したり、住んだりしてみないとわからなかったと思います。
ー JPくんがやっていた前店「Club 95’」は、新栄というクラブが多い土地柄もあって、ヒップホップとか好きそうな若い子たちの溜まり場みたいでしたよね。金山で店をやってみて、客層はだいぶ変わりました?
JP:前の店に来てくれてた子たちは今も結構来てくれてますよ。そこに、今までだとありえなかったけど、近所のおじさんとかおばあちゃんとか、駅近くの美容学生の子とか色々入り混ざってる。前の店は、完全に知ってる人しか来れない感じの店だったんですが、今は路面だし、駅からも歩ける距離だから、入ってきてくれるお客さんが全然違うんで楽しいですね。この街のパイセンたちともよく遊ばせもらってます。ボーリング大会にも混ぜてもらったり(笑)。
ーさすがのコミュ力ですね!
JP:この辺りで遊んでる年上のパイセンたちがよく行ってる「ホタルビル」っていうスナックとかが入った雑居ビルが駅近くにあって、そことかもよく行きますね。パイセンたちに可愛がってもらえて、ありがたいです。大人の遊び方を教えてもらってます。
ーバーとかスナック文化が根付いてる街なんですね。
JP:いいお店色々ありますよ。2世代でやってる店も多かったり。お母ちゃんがやってた店を、娘さんが引き継いでたり、その息子たちが20歳前後だったり。お母ちゃん経由で同世代の子に会ったり、全然ジャンル違う新しい人に会ったりして、面白いです。クラブだと絶対出会わない人たちに会える。
ースナックって、変な人集まりますよね。
JP:基本、全員酒飲みっていう前提ですから(笑)。
ー古賀さんは店をやってみてどうでしたか?
古賀:金山って すごい色のない雑多なエリアだなと思って。特定のカラーがついてないから、「街の本屋」っていうものをやるうえでちょうどいいなって。
ーどんな客層が多いですか?
古賀:若い人も多いです。最近だと短歌が人気ですね。31文字で世界を切り取るので、スマホとかSNSをやってる世代との相性がいいみたいです。他にも社会、政治、多様性、フェミニズム、ジェンダー論の棚もあって、このコーナーは本当に幅広い世代の人が手に取ってくれます。あと、最初に絵本コーナー見る人も多いです。
⛰️書店ならでは、居酒屋ならではのコミュニケーション
JP:僕も絵本コーナー、気になりました。
古賀:ここに展示もしているのは「バナナのらんとごん」(作:ちば たかこ/絵:かとう えりこ)っていう絵本で。バナナって規格外がめちゃくちゃ出るじゃないですか。それをちゃんと使おうっていうことで、「ぽこぽこバナナプロジェクト」っていうものが立ち上がって。発行しているのは「ぽこぽこバナナプロジェクト」のNPO法人APLAさんと、和歌山県の夫婦で営むらくだ舎出帆室さんです。ちょっと読んでみます?
JP:おもしろそう。普通に欲しいです。大学生の頃、絵本をよく読んでました。地元の小・中学生くらいの子たちのサッカーチームの監督をやっていたりもしていて。
ー子供好きそうですよね!そんな過去があったとは。
JP:絵本はすごく勉強になります。子どもに対する言葉の使い方とか。
ー漫画も結構、置いてあるんですね。
古賀:「呪術廻戦」とかも普通に置いてますよ。SS級漫画は入れるようにしてますね。
ーSS級って言い方するんですね。
古賀:しますね。超売れてるやつ。
JP:漫画は好きですね。ナウシカとかAKIRAとか店にも置いてます。
JP:ちゃんと小説を読める人間になりたいって思ってるんですけど、何かオススメあります?
古賀:小説なら 『ババヤガの夜』(著:王谷 晶/河出文庫)はオススメですね。ちょっと前に英ダガー賞というのを受賞してすごく売れた小説で、一気に読めてしまうと思います。ミステリーなんですけど、それ以上に、なんていうのかな……かっこいいんですよ。出自がよく分からない依子という主人公が、お嬢様を守るボディガードをすることになる話なんです。そのお嬢様も体は弱いんだけど、精神的にすごく強くて。お互いにだんだん大事な存在になっていく、みたいな話です。
JP: いいですね。本の内容をこうやって説明してもらうのは初めてかも。めっちゃ読みたくなりました。
ー普段の接客も、今みたいな感じで?
古賀:「こんな感じの本ないですか?」って、ふわっとした人も来ます。任せてもらえると、店のおすすめの本を推せるので、それで気に入って買ってくれたら嬉しいです。常連さんだとどんな本が好きか分かってるから、「これ入りましたよ」みたいな会話になります。
ー本屋さんでそういうコミュニケーションがあるのって楽しいですね。お酒も出してますもんね。
古賀:出してます。お客さんで、お酒好きな人結構いるんですよ。一人で来て、本とビールを買って、ちょっとゆっくりしていく、みたいな方もいらっしゃいます。
ーお店をやっていくうえで大事にしていることってどんなことですか?
古賀:ちゃんとジャンルがいろいろ置いてあるっていうのは、重要なポイントだと思っていますね。個人書店でここまで幅広く入れてるのはうちの特徴かもしれないです。新聞みたいな店にしたいなって思ってて。
ー新聞?
古賀:スポーツ欄もあれば、地域欄もある、みたいな。社会を反映している場所。本のラインナップを見てたら、なんとなく今の情報が入ってくる、みたいな店にしたいと思っています。自分が見落としてたものに気づけるような、新しい視点を届けられる本屋になれたら、と。
ー「ハコワレ」は何かコンセプトはあったんですか?
JP:全くないです(笑)。僕と(相方の)黒瀬がずっと思ってたのは、「友達がたくさん来れる街の遊び場を作ろう」っていう、それだけ。店に飾ってるものも、わざわざ買ってきたものじゃなくて、友達からもらったものとか、身の回りにあったものばっかりです。明確なコンセプトはないけど、その時やりたいことをやる、好きなものに囲まれてたいって感じですね。
JP:最近、裏の金山神社で縁日みたいなイベントやったりとか、ちょっと想像もしてなかった意外な展開もあって面白がってます。夕方の割と早い時間から店開けてるので、子どもたちとも関われるような、地域の人たちと密に絡める場所にしていきたいなとは思います。
個人的な目標は来年6月のワールドカップを黒瀬と観に行くことです。アメリカ、メキシコ、カナダの3カ国開催で、こんな機会なかなかない。店のモニターでみんなでワイワイしながら見るってのも、それはそれでいいんですけど。「行きたかったな〜」って思いながら見てるのは悔しいから。最近はもうとにかくワールドカップ行くことだけ考えて、そのために仕事頑張ってます(笑)。
(TEXT:武部敬俊、PHOTO:河井伶香)

